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井口薬局

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季節の養生法

春の健康管理

春は…植物を見ればわかるように…伸びやかに成長・発育・上昇することに適した季節で、東洋医学では自然界の春の性質を生体内で具現する臓器が「肝」(…肝臓・胆のう・目・筋肉・自律神経系・内分泌系を含む)だと考えています。
肝には、他の臓器の働きをスムーズにしたり、全身の血液やエネルギーの流れをよくして活動カや抵抗力の源となったり、ストレスヘの対応力やホルモン分泌を調節したりする、体内の『コントロールタワー』としての働きがあるのです。
したがって肝の感受性の高くなる今の時季に無理をしますと、肝や他の臓器・自律神経・内分泌が乱れ、アレルギー、肝臓・胆のう・膵臓・胃腸の不調、倦怠感、不安感、不眠、イライラ、動悸、目の疲れ、めまい、血圧異常、頭痛、肩こり、筋肉痛、痺れ、生理不順、自律神経失調等の様々な歪みを体にもたらしてしまいます。

 

《こんなことに気をつけましょう》

①香味野菜(ハーブ)・緑黄色野菜・海草・酸味食品、カルシウムを積極的に摂り、肝の働きをスムーズにしましょう。アルコール、刺激物はほどほどに。
②深呼吸・散歩・体操などで気分転換&リラックス(副交感神経優位に)する時間を作りましょう。
③朝は熱めのお風呂にさっと、夜はぬるめのお風呂にゆっくり入りましょう。お湯と水を交互に体にかけると自律神経の鍛錬に役立ちます。
④過労と睡眠不足は回復力を低下させます。特に体の回復時間帯である夜間はしっかり休みましょう
⑤肝を補う食べ物を憶えておきましょう…リンゴ ブドウ 梅 スモモ レモン
暑がりの方には …ミカン ナシ セロリ パセリ ゆず
寒がりの方には …モモ キンカン ライチ らっきょう 酢
がオススメです。適度に摂るよう心がけましょう。

春の健康管理2

草木が芽吹き、冬眠していた動物たちも目覚め始める春。人の身体も同様に、暖かくなると新陳代謝がよくなります。そのため、冬のあいだに溜まった老廃物のせいでニキビや吹き出物などの肌荒れがいつもより現れやすくなります。また、春は新しいことが始まる季節でもあり、心もバランスを崩しがちになるため、小さなことにもイライラしたり、落ち込みやすくなったりします。

そんな春の不調は「気・血(けつ)の巡りを良くする」ことが解消のカギとなります。

右図は東洋医学の五行説に基づくものです。
五行とは、万物を「木・火・土・金・水」の5つの要素に分類し、それらの関係を説いた理論です。この5つは、互いに支配したりされたりして絶妙なバランスを保っています。
五行の中には季節や方角、色、五臓(肝・心・脾・肺・腎)なども振り分けられており、生活の中に根づいた考え方です。
五行説では、春は他の季節と比べ「肝」の機能が高ぶりやすく不安定になり、気が乱れて滞りやすくなると考えます。また、気が滞ると血にも影響が及び、血の巡りも乱れて悪化してしまいます。気・血の巡りが両者とも悪くなると様々な不調を引き起こしてしまうため、春は気・血の巡りを良くして体調を整えることが大切なのです。

 

《こんな症状はありませんか》

具体的に気・血の乱れが原因で引き起こされる不調とはどのようなものでしょうか。次に挙げたものが当てはまる場合は「肝」と「気・血の巡り」に気を配り、養生することが大切です。

・イライラする、または落ち込みやすい
・肩こりが慢性的にある
・肌荒れやくすみが気になる
・傷跡やアザが残りやすい
・生理不順や生理前の不調がある
・のぼせる、または冷えのぼせがある
・めまいやふらつきがある

 

《春の養生は》

*冷たいものを摂り過ぎない

冷えは血の流れを滞らせる原因になります。春といっても朝夕の冷え込みもあり、身体は冷えがちです。冷たい飲料を避けたり、生野菜を温野菜にしたり、温かいものを摂るよう心がけましょう。

 

*香味野菜を上手に使って気を巡らす

春菊や三つ葉、セリ、タマネギ、大葉などは気の巡りを良くしてくれます。気持ちがすっきりしない時などに取り入れてみてはいかがでしょう。

 

*早起きは三文の徳

「春眠暁を覚えず」という言葉がありますが、朝寝坊はおすすめできません。春は日の出とともに陽気が動き始めます。「あと10分」と思う気持ちをグッとこらえて早起きを心がけてみましょう。

 

*適度な運動で血を巡らせて

特に生理痛や下半身の冷えが気になる方はウオーキングで骨盤まわりの血行を促しましょう。
通勤時にひと駅分歩くなど無理のない範囲で取り入れるのがおすすめです。長時間座りっぱなしの状態も、骨盤まわりから下半身の血の巡りを妨げます。定期的に立ち上がり、のびをしたり歩いたりしましょう。

梅雨時の健康管理

梅雨から夏にかけての時期は湿度が高くなるとともに大気中の酸素量が低下するため、内臓…特に脾胃(胃腸と肝機能の一部)の働きが低下し、食べ物の消化吸収力が落ちたり、消化吸収した栄養からエネルギーや血液・細胞を造る力が低下します。さらに脾胃が弱ると体内の水分処理能力も低下するため、体内の余分な水分が不調や病気の原因になる「痰湿」や「湿邪」という病証も頻繁に見られるようになります。
その結果、だるさや食欲不振・胃炎・腸炎・肝炎・下痢などの脾胃症状、アトピー・湿疹などの皮膚症状、血圧や自律神経・更年期障害等の内分泌症状、神経痛・リウマチ・腰膝痛などの疼痛症状が特徴的に悪化します。
また特に高温多湿となる夏には心臓・血管に負担がかかりやすく、夏バテ・高血圧・動悸・息切れ・立ちくらみ・めまい・低血圧・低体温などが悪化します。

 

《こんなことに気をつけましょう》

①深呼吸・散歩・体操などで気分転換&リラックス(副交感神経優位に)する時間を作りましょう。
②朝は熱めのお風呂にさっと、夜はぬるめのお風呂にゆっくり入りましょう。体にお湯と水を交互にかけると自律神経の鍛錬に役立ちます。
③生もの・冷たい料理・ビールや飲物は控えめにしましょう。よく噛んで唾液をしっかり出し、食事中の水分を控えると消化しやすくなります。
④さらに酸味で唾液分泌を促進し、胃腸・肝臓の働きを助けましょう。(酢・酢醤油・梅干し・レモンなど)
⑤脾胃を補う食べ物を憶えておきましょう。
大豆 黒豆 キャベツ サツマイモ ニンジン ブドウ
暑がりの方には …豚肉 豆腐 あさり 昆布 キュウリ 大根 トマト ナス ソバ
寒がりの方には …肉(牛・鶏・羊) 納豆 カボチャ 小松菜 ショウガ 栗
がオススメです。適度に摂るよう心がけましょう。
⑥天気が悪くなると体調が悪くなるときは、特に水分の無秩序な摂取を控えるとともに
アズキ ハトムギ トウモロコシのひげ トウガン ショウガ 春菊
などを積極的に摂りましょう。

 

(ワンポイント雑学)

ネガティブなイメージになりやすい雨ですが、ポジティブな言葉もたくさんあるんですよね。

「雨降って地固まる」…悪いことの後に、前よりよい状態になること
「雨、塊を破らず」…世の中が泰平であるさま
「雨が降ろうが槍が降ろうが」…強い決意の例え
「雨を冒して韮を剪る」…友人の来訪を喜び、もてなすこと
「雨過天晴」…悪い状況が好転する例え
「五風十雨」…気候が順当、世の中が泰平なこと

かくいう私も雨が降るとエンジンが掛からない傾向があるのですが、梅雨時期は毎年、漢方薬で体内の除湿をしつつ夏バテ予防を心がけています。

低体温に要注意

疲労やストレスがたまりやすい生活を続けていると、自律神経の乱れから体は冷えやすくなります。
冷え症でなくても、のぼせる症状がある人でも、足が冷えたり体温が元に戻りにくくなるのです。
また花冷えや梅雨寒などどいった言葉があるように、暖かな季節であっても日本の気候風土では基本的に一年を通して冷えに注意しないといけません。
生命力が最も活発になる理想体温は36.5(~37)℃…内臓の活動を支える体内酵素が活発に働き、新陳代謝・血行ともによい状態で、健康を保つのに理想的な体温です。
これに対して36.2℃以下を低体温といい、新陳代謝・血行・排泄機能が不活発になり、むくみや便秘、肥満、自律神経やホルモンバランスの乱れ、免疫力低下による諸症状が現れやすくなったり、様々な病気にかかりやすくなります。

 

ちなみに体温が1℃下がると、
・基礎代謝は12%低下します
・免疫力は37%低下します
・酵素活性(解毒力)は50%低下します

 

《冷え・疲労・ストレスから体を守りましょう》

①生冷物(生野菜・果物・茶)は摂り過ぎに注意しましょう
②タンパク質(アミノ酸)を毎食摂るよう心がけましょう
③ウオーキング等で気分転換(副交感神経優位に)、ストレッチ運動で基礎代謝アップを計りましょう
④過労や睡眠不足に注意(特に夜間の休息を忘れずに)
⑤肝(自律神経の働きや代謝の土台となります)を補う食品を適度に摂りましょう
…リンゴ ブドウ 梅 スモモ レモン
暑がりの方には …ミカン ナシ セロリ パセリ ゆず
寒がりの方には …モモ キンカン ライチ らっきょう 酢

酸素不足に要注意

四季のある日本ですが、近年は豪雨や竜巻など気候の変動幅が大きくなり、我々の生活や体調に及ぼす影響も大きくなっています。近年では日射病も室内でも起こることから熱中症と総称されるようになり、発生する時期も6~9月と長期化しています。
そこで今回は少し違った視点から日本の夏の過ごし方を考えてみます。キーワードは「酸素」です。
我々が普段生活していて最も意識することなく、実は生命維持に最も大切なのが酸素です。酸素がないと死んでしまうことは知っていても、不足するとどうなるか判っている人は少ないかもしれません。
体に取り入れる酸素が不足すると、まず体にだるさ・凝り・痛みを感じるようになり、続いてめまい・ふらつき・胸苦しさ・動悸・意識消失などが起こります。さらに慢性的な酸素不足は慢性疲労や様々な疾患・脳活動低下の原因となります。このように人間にとって酸素不足は体調不良の大きな原因となります。

 

《酸素不足が起こる原因は?》

 

①気象変動

大気中の酸素濃度は常に変動しており、温度が高い・湿度が高い・気圧が低い・高度が高い・緯度が低いと酸素濃度は低下し、逆に温度が低い・湿度が低い・気圧が高い・高度が低い・緯度が高いと酸素濃度は上昇します。高温多湿の日本では梅雨~夏にかけて酸素濃度が低下する時期が続きます。そこに台風や低気圧、雨が発生すると、さらに酸素濃度が低下するため、前述のような体調不良(夏バテ)症状が起こりやすくなります。

 

②換気不足

密閉性の高い現代の建築物では在宅時間とともに室内の酸素濃度は低下、逆に二酸化炭素と湿度は上昇していきます。

 

③呼吸の大きさ

起床時・午前中に血行がよくない・体が冷えている・座りっぱなし・筋肉運動をしない・頭脳労働やストレスで交感神経が緊張している・猫背になっている・口呼吸になっている…などの状態では呼吸自体が小さくなり、体内への酸素の取込量が低下します。

 

《酸素不足から来る体調不良を防ぐために》

*帰宅時や朝にはまず換気をしましょう
(換気扇や扇風機を使って「風の道」を作りましょう)
*室内はエアコンで温度(28℃前後)湿度(50%前後)を下げ、酸素濃度を上げましょう
(エアコンが苦手な場合は扇風機の風を壁に当てたり、室内で空気を循環させるようにしましょう)
*深呼吸を常に心がけましょう
(まず口からゆっくりしっかり息を吐き、次に鼻からゆっくり空気を吸ってお腹を膨らませます。一呼吸止めてからまた息を吐くようにします)
起床時、座りっぱなしの時、パソコンに向かう時、考え事をしている時、イライラや不安がある時、体格的に胸郭が狭い方は呼吸が小さくなっているので特に意識しましょう
*猫背にならないよう胸を張って呼吸しましょう
*喋る・歌う・笑うと呼吸も大きくなります
*鼻呼吸(特に吸うとき)を心がけましょう
口呼吸に比べ、よく気道が開き、肺血管が拡張するので体内への酸素取込量が多くなります
(鼻炎や鼻疾患は全身の慢性的な酸素不足につながる!)
*胸を冷やさないようにしましょう
肺が冷えると呼吸が浅くなり、心臓が冷えると動悸が起こりやすくなります(…パニック障害の症状)

 

《こんなことにも気を付けましょう》

*首や肩が凝る方は、起床時や休憩時に首のストレッチをしましょう
(手で頭を支えながら、頭をゆっくり ①前後に ②左右に ③左右斜め前に 倒します)
*午前中に体調が悪い方は、朝シャワーで首~肩を温め、軽く発汗しておきましょう
(暑熱順化…軽い 発汗により体を暑さに順応させる訓練になります)
*冷飲や冷食・生食は避けましょう
胃腸が冷えると体温調節がしにくくなるとともに、消化吸収力が落ちるので栄養不足になりがちです
*タンパク質(肉・魚・卵・大豆製品など)を摂りましょう
新陳代謝の主役は細胞の原料であるタンパク質です

夏の健康管理

東洋医学では、夏は心臓・小腸・血管が弱りやすく、特にこれからの時期の夏バテや様々な不調症状は「心の弱り」から来るものと考えます。
また日本独特の高温多湿の気候が「暑邪」「湿邪」を増加させ、脾胃(胃腸および肝臓)の働きを低下させるため、食物を消化吸収する力が落ちたり、消化吸収した栄養からエネルギーや血液・細胞などを造る力が低下します。そのため全身の倦怠や胃腸障害・アトピーなどの皮膚病・血行障害による血圧異常・凝りや痛み・しびれの症状なども現れやすくなります。
7・8月は1年のうちで体力が最も低下する時季です。心臓と胃腸をいたわって、夏バテを予防し免疫力を高めておきましょう。

 

《こんなことに気をつけましょう》

①汗のかきすぎは心臓に負担をかけ、体を弱めます。ご注意下さい。(汗は心液)
②朝は熱めのお風呂にさっと、夜はぬるめのお風呂にゆっくり入りましょう。体にお湯と水を交互にかけると自律神経の鍛錬に役立ちます。
③生もの・冷たい料理・ビールや飲物は控えめにしましょう。よく噛んで唾液をしっかり出し、食事中の水分を控えると消化しやすくなります。
④さらに酸味(酢・酢醤油・梅干し・レモンなど)で唾液分泌を促進し、胃腸・肝臓の働きを助けましょう。
⑤心を補う食べ物を憶えておきましょう。
…ギンナン 春菊 卵黄 牛乳 ハチミツ
暑がりの方には …茶類 スイカ レタス レンコン マクワウリ 緑豆
寒がりの方には …ししとう モモ リュウガン 干しナマコ
がオススメです。適度に摂るよう心がけましょう。

 

(土用のウナギ)

夏、土用の丑といえばウナギ…というのは200年前の平賀源内の考案ですが、昔から「ウ」のつくものを食べると暑気あたりしないという言い伝えもあったようです。万葉集にも「夏やせに良し」とあるそうで、ホントに昔から食していたんですね。
ウナギは栄養価が高いので少量でも滋養強壮になるし、薬味の山椒が魚毒を消し消化を助けるので、夏バテ防止にはオススメです。
ただしウナギの旬は秋から冬にかけてで、この時期のほうが脂がのって美味しくなります。また昔から梅干しとの食べ合わせが言われますが、これは無根拠。梅干しにも消化促進・殺菌・疲労回復効果があるので、実は山椒同様に良い組み合わせです。

夏の健康管理2

東洋医学では、梅雨から夏にかけての高温多湿期には脾胃(ひい:胃腸)が、また本格的な夏には心(しん:心臓・血管)が弱りやすくなると考えます。夏バテや熱中症を含む、これからの時季の体調不良の多くは脾胃と心の弱りが原因になります。
脾胃には飲食物を栄養や血液に変える働きがあるので、脾胃が弱ると食欲不振・胃もたれ・味覚異常・疲労倦怠・めまい・出血傾向・皮膚の炎症・便秘・下痢・むくみ・夏バテ・不眠などが起こりやすくなります。
脾胃は湿気や冷えに弱い臓器です。食養生を中心に、以下のことに気を付けましょう。

 

*適度な運動で発汗して体内の湿度調節を
*発汗後の水分補給は常温でこまめに
*生もの・冷たい料理・冷たい飲物はほどほどに
*食事はよく噛んで唾液を混ぜる(早食いしない)
*胃液を薄める食事中の水分摂取を控える
*酢・酢醤油・梅干し・レモンなどの酸味を加える
*辛いものや脂っこいものを取り過ぎない
*脾胃を補い、食欲を促す食材
…大豆製品 卵 鶏肉 山芋 いんげん豆
カボチャ うなぎ シソ みょうが
*体内の余分な湿を取り除く食材
…ハトムギ 緑豆 小豆 キュウリ もやし

心には血液循環と精神活動をコントロールする働きがあるので、心が弱ると動悸・息切れ・脱力感・健忘・不整脈・血管障害・不安・不眠・めまい・多汗・夏バテなどの症状が起こりやすくなります。心は暑さに弱い臓器です。以下のことに気を付けましょう。

*過度・大量の発汗には要注意(汗は心液)
*睡眠をしっかり(理想は午後10時から午前6時の間)
*交互の温浴・冷浴で自律神経を鍛える
*心を補う食材
…小麦 山芋 豆腐 湯葉 モモ リンゴ
*不眠によい食材
…ユリ根 ハスの実 牡蠣

 

《養生訓から》

約300年前(江戸時代)83歳の貝原益軒によって書かれた「養生訓」には、夏の注意として
涼風に当たらない(入浴後は特に)
飲食量を控え、温かい物を食べる、
冷水を飲まない、生物を控える
冷水を浴びたりしない、
睡眠中に風に当たらない、
夜に野外で長時間過ごさない
…などとあります(冷房がない時代に!)。
暑がりでも寒がりでも、体を冷やすと確実に免疫力は低下しますので、この養生訓は夏バテ予防に有効です。

夏の健康管理3

日本の夏は高温多湿なのが特徴です。特に春から夏、また夏から秋への季節の変わり目は土用あるいは長夏といって必ず湿気の多い時期があります。この時期に起こりやすい症状は…

●夏バテ(だるさ・むくみ)

雨が続くと脾胃(胃腸)の消化機能が低下し、食欲不振・だるさ・軟便・むくみ等の夏バテが起こります。

《おすすめの食材》

枝豆 そら豆 いんげん 小豆などの豆類
冬瓜 長いも じゃがいも
オクラ ハトムギ トウモロコシ ハスの実
ウナギ ハモ トビウオ スズキ タコ 鶏肉

《よく使われる生薬》

茯苓(ぶくりょう) 白朮(びゃくじゅつ) 蓮肉(れんにく) 白扁豆(びゃくへんず)

 

●食中毒・胃腸型カゼ

高温多湿で細菌やウイルスが繁殖しやすいため、胃腸の感染症が流行ります。料理には薬味を使い、生ものを避け、食事前には丁寧に手洗いをしましょう。

《おすすめの食材》

ショウガ シソ ネギ ミョウガ 香菜 梅
サンショウ 八角 ワサビ 酢

 

《よく使われる生薬》

かっ香(かっこう) 蘇葉(そよう) 五行草(ごぎょうそう) 板藍根(ばんらんこん)

 

さらに本格的な夏に突入すると…

●不眠・寝つきが悪い・目が覚めやすい

熱帯夜が続くと睡眠障害を起こしやすくなります。寝室の風通しをよくする等の工夫をするとともに、短時間の昼寝や仮眠をおすすめします。

《おすすめの食材》

ニガウリ ユリ根 ハスの実 鶏卵
ミント ラベンダー カモミール

 

《よく使われる生薬》

山梔子(さんしし) 蓮肉(れんにく) 酸棗仁(さんそうにん) 茯苓(ぶくりょう)

 

●冷房病

冷房を長時間つけていると、体表面が冷えるとともに汗をかかなくなります。また冷たい飲み物を飲むと体内が冷えて頭痛・肩こり・むくみ・胃痛・軟便下痢などを引き起こします。適度な発汗は体の深部の熱を発散してくれます。夏でも温かいものを摂ったり、温かいお風呂に入って夏の冷えを防止しましょう。

《おすすめの食材》

ショウガ ネギ タマネギ ラッキョウ ミョウガ

《よく使われる生薬》

黄耆(おうぎ) 桂枝(けいし) 生姜(しょうきょう) 当帰(とうき)

 

●熱中症・日射病

炎天下では体内の気陰・津液(水分)を消耗しやすくなります。外での長時間の作業やスポーツを避け、外出の際は帽子や日傘を使用したり、少量ずつこまめに水分補給するようにしましょう。

《おすすめの食材》

キュウリ トマト ニガウリ モロヘイヤ
緑豆 緑豆もやし 豆腐 春雨 豚肉 鴨肉
スイカ パイナップル ブドウ マンゴー

 

《よく使われる生薬》

人参(にんじん) 麦門冬(ばくもんどう) 五味子(ごみし) 西洋人参(せいようにんじん)

 

さらに狭心症・脳卒中の予防には…

《おすすめの食材》

チンゲンサイ ナス イワシ キクラゲ 桃 黒酢

 

《よく使われる生薬》

田七(でんしち) 丹参(たんじん) 川きゅう(せんきゅう) 紅花(こうか)

 

【夏の養生ポイントは】

・早起きを心がける
・直射日光を避け、水分補給等の防暑対策を心がける
・冷たい飲食物を取り過ぎないようにする
・脾胃(消化吸収)と心(血液循環・精神状態)を健やかに
・体内に熱がこもったら「首の横」「脇の下」「足の付け根」の3ヶ所を冷やす

 

湿度の高い時期には過度の水分摂取を控えるとともに消化に気を配り脾胃(胃腸)をいたわることが大切です。そして暑さが真っ盛りの時期には体の冷えやほてり、血液循環に気を配り心(心臓)をいたわることが大切です。

秋の健康管理

体力や免疫力というものは、常に数ヶ月前の体調や生活状況を反映します。この夏、元気だった人は夏前までの体調や生活が安定していたはずです。逆に夏バテや今の時期に体調不良がある人は、今冬に体調を崩しやすくなります。病気の原因と体に現れる症状にはこのように時間のズレがあるのです。
これからの季節は特に「鼻-肺(気管支)-大腸-皮膚」のトラブルが起こりやすく、カゼ・気管支炎・喘息・咳・鼻炎・アトピー・胃腸の不調・皮膚病・神経痛・関節痛・冷えなどの不調が多くなります。秋冬の健康維持には、まず現在の元気力アップ、次に適切な栄養補給が大切です。体の不調は早めにご相談下さい。

 

《こんなことに気をつけましょう》

①香味野菜や種実類を積極的に摂りましょう
(栗・ぎんなん・ゴマ・玉ネギ・大蒜・白ネギ・山芋など)
夏に疲れた内臓の回復や安眠に役立つとともに、秋冬の寒冷(邪気)が体内に侵入する(傷寒)のを防いでくれます。
②生もの・冷たい料理や飲物は控えめに
よく噛んで唾液を混ぜて飲み込み、食事中の水分を控えて胃の冷え・弱りを防ぎましょう。
③早寝早起きを心がけ、体を動かして血流を改善
軽い運動を毎日続けましょう。過度の運動と発汗は体を冷やし、肺を弱めるので注意して下さい。
④乾布摩擦や温冷浴で皮膚表面を刺激
皮膚を刺激すると肺と自律神経が鍛えられます。
⑤肺を補う食べ物
…里芋 銀杏 豆乳 牛肉 アーモンド
暑がりの方には …大根 ゴボウ キュウリ 柿 梨
寒がりの方には …ショウガ ニンニク シソ ネギ
がオススメです。適度に摂るよう心がけましょう。

秋の健康管理2

我々の体は今夏、けなげにも猛暑による体力の消耗・体内の水分消耗・消化機能の低下・冷房や発汗による冷え等の試練に頑張って耐えてきました。しかし、人によって程度の差こそあれ、夏に受けた影響・負荷をそのままにしておくと秋冬にガクッと体力が落ちてしまう懸念があります。
特に夏から秋、秋から冬への季節の変わり目(秋の土用・冬の土用)は温度・湿度・気圧が大きく、夏に受けた負荷が多い人ほど、めまい・うつ・頭痛・喘息・神経痛・血圧異常などのいわゆる「気象病」が発生しやすかったり、体調が不安定になりがちです。
また今後、秋が深まっていくと乾燥も進んで、夏に汗をたくさんかいたことと相まって体の潤いも不足気味になっていきます。この時期はしっかり潤いを補給しておくことが冬の乾燥と冷えへの備えにつながります。
『黄帝内経(こうていだいけい)』という中国の古い医学書には、秋の養生について「早寝早起きをする。心を安らかにして、あれもこれもしたいと活発に動いてはいけない」と書かれています。

 

養生①「早寝早起きをする」

夏の疲れを取るためには、意識的に体を休ませる必要があります。また体の潤いのもとは夜間、特に睡眠によって作られるので、夏よりも就寝時間を早めて睡眠時間をしっかり確保しましょう。

 

養生②「気持ちの平安を保つ」

秋はなんとなく憂鬱になりますが、その気持ちは体調にも影響を与えます。こんな気持ちになるのは季節のせいと割り切って、できるだけ心穏やかに過ごしましょう。適度なストレス発散がお薦めです。

 

養生③「活動的になりすぎない」

春夏は生命力を外に発散する季節ですが、秋冬は内側にしまい込む季節とされています。動き回ることや激しい運動は避けて、ゆったりと過ごしましょう。

 

養生④「薄着をしない」

気の流れが外向きから内向きに変わることで、皮膚の防衛力が手薄になります。薄着だと体の熱や水分が逃げてしまい、体表面の防衛力が低下してカゼを引きやすくなるので気を付けましょう。汗をかいたらすぐに拭くよう心がけて下さい。

 

養生⑤「お風呂につかる」

なんとなく憂鬱な日や疲れた日はもちろん、気や血(けつ)の巡りをよくするためにも湯船につかるのがオススメです。ただし、体力と血を消耗し過ぎないよう少しぬるめのお湯にほどほどの時間つかるようにしましょう。良い香りにはリラックス効果があるので、時には入浴剤などを使って心と体をほぐしましょう。

 

《食養生・漢方養生のすすめ》

*夏に消耗した体力を補う(益気・補血・活血)
食品…なつめ 山芋 舞茸 エビ 鶏肉 豚肉 鮭 卵
生薬…大蒜 鹿茸 人参 黄耆 牛黄 山薬 牡蛎

 

*体質の弱り・皮膚粘膜の乾燥を防ぐ(益気・補陰)
食品…豆腐 蜂蜜 大根 ユリ根 白ゴマ 松の実 ぎんなん れんこん 落花生 梨 柿
(刺激の強いものは体を乾燥させるので控えめに)
生薬…当帰 地黄 阿膠 亀板 枸杞子 麦門冬

冬の健康管理

冬は、低温・乾燥などにより、体の陰陽の気を多く消耗し「腎」が弱る時期です。
この季節は、夜は早く寝て、朝はゆっくり起きて、寒気に負けないよう体を温める必要があります。また精神的にもストレスをためず、安らかに生活することが肝要です。
これに逆らって過労で汗をかきすぎたり、寒気に長く触れて体を冷やしたり、体内の陽気をむやみに逃がすと、腎を弱らせてしまい、免疫力が低下して病気につながります。
東洋医学では冬を「封蔵」といい、ものを納める季節という意味があります。冬は、エネルギー消費を抑えると同時に、春の身体の芽生えに備えてエネルギーを蓄えておくことが重要なのです。
これからは「補腎」を心がけて、精気を補い、助け、貯えましょう。“冬に養生すれば、春に虎を倒せるほど元気になれる”とも言われます。冬の養生が上手にできれば、腎精が充実して春はもちろん一年を元気で病気をせずに過ごせるようになります。

 

《こんなことに気をつけましょう》

①軽い散歩や運動、入浴などで血液循環をよくしましょう。
②生食は避け、温かい料理を摂るようにしましょう。
③帰宅時は必ずうがい(温湯で行なうのが効果的)と手洗いをしましょう。
④感冒・流感のウイルスは低温・乾燥が大好きです。室内は保温・加湿しましょう。
⑤寒性食品を食べ過ぎないようにしましょう。
ミカン バナナ 柿 トマト ダイコン キュウリ ナス タケノコ 白菜 ほうれん草 生野菜 海草 豆腐 豚肉 刺身 豆乳 コーヒー 緑茶 ウーロン茶
⑥温性食品を食べるよう心がけましょう。
モモ キンカン アンズ 栗 クルミ カボチャ ニンニク シソ ネギ ショウガ 餅米 牛肉 鶏肉 羊肉 アジ ウナギ エビ サケ マグロ
(⑤⑥はバランスが大切です。適度に摂りましょう)

 

《冬令進補》

冬は陰陽の気を消耗する時期で、そこに過労や冷えが加わると体の精気を貯蔵する「腎」を弱めます。
「冬令進補(とうれいしんぽ)」とは、冬には腎を補い、積極的に精気を蓄えましょうという冬の生活養生の基本ともいえる標語です。夜は早く寝、朝はゆっくり起き、体を温め、焦らず安らかに生活する。
そのうえで滋養・補腎の薬食を摂り、体内に元気を蓄えて、春の活動期に備える…これが本来の冬の過ごし方なのですが、一年中が活動期である現代人には、春のために冬を休むという発想自体ありません。しかし冬場にムリをすると確実に抵抗力が落ち、春先に病気や不調が発生する確率を高めてしまいます。人間も動物です…冬場はクマの冬眠をイメージしながらムリせず過ごすというのはどうでしょう。
こういうところだけは動物たちの生存本能を見習ってほしいなと思います。

冬の健康管理2

これからの時期はいよいよ寒さも本格的になってきます。ちょっと油断すると、のどが痛くなったり、咳が出始めたり、お腹を壊したり、そこからカゼを引きこんでしまうことも少なくありません。

冬にいちばん気をつけたいのは“冷えから起こるカゼ”です。漢方では、冬の寒さや寒冷食品の取り過ぎで身体に冷えが入り込むと、カゼをはじめ様々な不調につながる(風寒・寒湿)と考えるので、カゼ予防も身体を冷やさないことがなにより大切です。食事は温かいものを取るよう心がけ、薄着や肌を出すような服装は避けましょう。特に3つの首(首・手首・足首)を意識して温めると、冷えの予防につながります。
食材では体を温めて冷えを発散させるシナモン、しょうが、ねぎ、にんにく、タマネギ、ニラなどが、漢方製剤では気血を補い巡りを良くするレオピン・霊鹿参・婦宝当帰膠などがオススメです。

冷えの侵入を防ぐという点では、身体の防衛力と深い関わりがある肺を健やかに保つことも重要です。肺は乾燥に弱いので、空気が乾燥する冬は肺やのどの粘膜で不調や免疫力低下を起こしやすくなるからです。肺を守るには、滋潤の働きがある食材を積極的に取り、体内の潤いをしっかり保つようにします。
食材では肺を潤し咳を和らげる蜂蜜、ゆず、みかん、梨、ビワ、レンコン、白きくらげ、ゆり根、豆乳などが、漢方製剤では皮膚粘膜に潤いを与え、炎症を鎮める瓊玉膏・紅芝泉・生脈散などがオススメです。同時にマスクや加湿器などでの乾燥対策も忘れないようにしましょう。

もうひとつ冬に気をつけたいのが“冬うつ”です。
寒くなる頃に気分の落ち込みを感じる人は冬うつかもしれません。漢方では、冬のうつは体内の陽気不足から起こると考えます。陽気(エネルギーであり活動力・決断力の元になる)は心身の活動を支える、まさに「元気の源」であり、太陽のエネルギーが強い春から夏には盛んになります。反対に日照時間の短い冬は陽気も不足しがちになり、そのため心の元気を失いやすく、冬うつになってしまうのです。冬うつの特徴は、不眠や食欲不振など一般的なうつに見られる症状に対し、眠気が強く食欲が比較的旺盛(特に炭水化物…甘いものを欲する)であることです。思い当たることがある人は早めに対処しましょう。
冬うつ対策の基本は、陽気の源を蓄える腎の働きを守ることです。腎は冷えに弱いので、入浴や服装の工夫でしっかり身体を温めることが大事です。胃腸の働きを整えてバランスよく栄養を取り、早起きをして太陽をたっぷり浴びることも陽気の充実につながります。ストレスの発散も大切で、気持ちを穏やかにして体内の気の巡りをスムーズに保つよう心がけましょう。
食材では腎を補うエビ、シイタケ、くるみ、栗、黒豆、大豆、やまいもや、気の巡りをよくするゆず、みかん、ジャスミンなどが、漢方製剤では腎を温め補い、気血の巡りを良くするレオピンロイヤル、エナックW、霊鹿参、感應丸氣、亀鹿霊仙廣などがお薦めです。

 

《冬の養生ポイント》

・夜は早く就寝し、朝は日が昇ってから起きる
・適度に運動を行い、防寒保温を心がけて陽気を守る
・自分の体質に合った滋養強壮を行う
・腎機能を健やかに保つ

冬に植物が枯れたり、動物が冬眠するのは春に向けて冬の間にエネルギーを蓄えるためです。
人間の場合、エネルギー(精)は腎に蓄えられるので、腎を冷えから守ることは冬の養生ではとても重要です。

年末年始の健康管理~もち米について

毎年のことですが、お正月明けからしばらくは持病が悪化したり再発したというご相談が多くなります。
寒気が厳しくなることに加えて、年末年始に生活リズムや食習慣が変わることが原因となることが多いのですが、なかでもこの時期ならではの体調不調のカギとなるのがお餅です。
お餅…もち米にはからだを温める働きがあり、それがその人の体質により良い方向に働くこともあれば、症状を悪化させることもあります。
もち米の良い点は体を温め、滋養になり、下痢を止めるところです。お腹が冷えて下痢をしたり体が弱ったときには薬となるのです。逆に悪い点は患部があれば熱を持ち悪化させることと血液が粘りやすくなることです。

《もち米を控えたほうがよい人》

・化膿している患部がある人
・体のどこかに痛みがある人
・瘀血があり血行が悪い人
・胃腸の消化力が弱い人

病名では…おでき じんましん 皮膚病 乳腺炎 膝痛 腰痛 関節炎 神経痛 鼻炎 副鼻腔炎 上咽頭炎 中耳炎 歯周病 便秘 痔

漢方では食品や薬草を「四気」「五味」「帰経」という独特の概念の組み合わせにより分類します。
「四気」(寒・涼・平・温・熱)とは、食品や薬草が体を冷やすか温めるかを分類するものです。体を冷やし消炎鎮静の働きを持つものを寒や涼といい、体を温めて新陳代謝を亢進する働きを持つものを熱や温といいます。その中間の穏やかなものは平といいます。寒や涼のものは夏の暑い時期、暑がりの人、炎症がある場合などに有効で、熱や温のものは冬の寒い時期、冷え性の人、新陳代謝の悪い場合に有効です。
「五味」(酸・苦・甘・辛・鹹)と「帰経」(肝・心・脾・肺・腎)は食品や薬草の味から効き目と効く場所を類推するもので、酸味のものは引き締める作用があり、肝・胆に働きます。苦味のものは炎症を抑える作用があり、心・小腸に働きます。甘味のものは疲れや緊張をとる作用があり、脾・胃(胃腸)に働きます。辛味のものは発散し巡らせる作用があり、肺・大腸に働きます。鹹(塩辛い)味のものは物を軟らかくする作用があり、腎・膀胱に働きます。

「四気」「五味」「帰経」からもち米とうるち米を比較すると以下のようになります。
もち米(糯米):温・甘・脾胃
うるち米(粳米):平・甘・脾胃

もち米は温める効き目が強いので日常的に食べてはいけないものなのです。お餅を正月などのハレの日だけに食べ、胃を正常に保つ働きのある穏やかなうるち米を普段の主食にしているのは先人の知恵といえます。

それでも、食べたいときは以下のようにして下さい。
・小さく少量ずつ食べる
・口内を十分湿らせて食べる
・よく噛んで餅が溶けてから飲み込む
・大根と一緒に食べる
・お喋りしながら食べない
・食後に晶三仙や生薬胃腸薬を服用する

もう一点…お餅だけでなくもち米を使ったおかきやおこわ、赤飯なども同様に注意が必要です。
うるち米を使った団子・五平餅・柏餅、でんぷんを使ったくず餅・わらび餅、小麦粉を使った月餅などは問題ありません(が食べ過ぎには注意しましょう)。

最後になりますが、お餅を食べても問題がないのが当たり前(健康)なのです。
お餅が悪いのではなく、お餅を食べて症状が悪化する自分の体が問題であることをお忘れなく。

春夏に陽気を養い 秋冬に陰気を養う

東洋医学では季節気候の変化を六気といい、変化が人体に障害を与える時には六邪といいます。今夏はまさに暑湿の邪(気温の変化・蒸し暑さ・急な天候不良等)によって多くの方が体調を崩されました。
夏バテ・食欲不振・口内炎・ヘルペス・めまい・耳鳴り・血圧異常・腰痛・細菌感染症…店頭で多くの報告を受け、特にご高齢の方や持病をお持ちの方には春先から夏前にかけてもっと積極的にアドバイスや注意喚起をすべきだったと反省しています。

養生のポイントは「聖人は春夏に陽気を養い、秋冬に陰気を養う」という言葉に従うことです。

春夏の暖かい時期に体を温める力を高めておく(補陽)と、秋冬の寒い時期になっても体は冷えにくくなります。春夏に体を冷やし過ぎると夏バテしやすくなるとともに、秋冬に感冒・鼻炎・気管支炎・膀胱炎・腰痛・関節炎等を起こしやすい体質になってしまうのです。熱中症予防で体内に熱がこもらないようにすることも大事ですが、過度に水分や生冷物を取り過ぎないことはそれ以上に大切です。

秋冬の寒い時期に体を潤す力を高めておく(補陰)と、春夏の暖かい~暑い時期になってものぼせ・めまい・自律神経失調・血圧異常・夏バテなどを起こしにくくなります。カゼ予防のため体を冷やさないようにするとともに、陰気を補うためにしっかり睡眠を取り、ごま・ぎんなん・松の実・大豆などの種実類や豚肉・鶏肉など高タンパク食を心がけることが大切です。

普段お服みいただいている漢方製剤(補益剤、滋養強壮剤、栄養剤などの上薬)についても
①調子のよい(症状のない)時期でもコンスタントに補うとともに
②調子を崩した時や調子を崩した経験がある季節の3ヶ月前からは服用量・服用回数を増やす
ことにより陽気・陰気をしっかり補うことができます。

体調不良は突然やって来るように見えて、実は春の養生不足が夏に、夏の養生不足が秋に、秋の養生不足が冬に、冬の養生不足が春に現れます。3~6ヶ月後の健康を考えて未然に体調不良を防ぎましょう。